作られた分断:第六部 諸悪の根源は日米安保
沖縄県名護市辺野古の新基地建設に向けた護岸工事が着工してから1年が経った。
海岸から沖側に延びる“道”が護岸ブロック。護岸を敷き詰めれば、そのなかに土砂を埋め立ててそこを米海兵隊が滑走路として使用する=沖縄タイムス
国が進める護岸工事は、県の承認が下りたわけではない。
県の判断を無視して強行されている工事だ。
国が用意するエクスキューズはやはり「北朝鮮の脅威に対する抑止力」
予断は許さないものの、対話路線へ転化しつつある北朝鮮を軍事的な脅威と見なすことにどんな意味があるのか甚だ疑問ではあるが事実、安倍政権はこの一点で辺野古新基地建設を正当化してきた。
辺野古にはすでにキャンプシュワブとよばれる米海兵隊の基地が存在するがそこに世界一危険な軍事基地との呼び声高い普天間基地の機能を移設し、代替基地として機能させるということだ。
思えば、2009年の政権交代時はじめて単独与党となった民主党(当時)は普天間基地の移設先について「最低でも県外」という公約を示していた。
しかし、戦後長らく日本の安全保障の根底にあり続けた自衛隊と米軍の共存関係に抗うことができず結局自民党政権時代からの「普天間の移設先は辺野古」という既定路線に回帰せざるを得なくなった。
このことで沖縄県民はもちろん、日本国民の多くの期待を裏切る形となってしまった鳩山政権はあっけなく退陣した。
この失政や、安倍政権の独断的な基地建設強行を許しているのは「日本に米軍基地が必要である」という思いを多くの国民が抱いているからだ。
米国からすれば、米軍基地が必要だと思うのならどこ置いたって文句はないだろうということだ。
政権時代の民主党も、現在の立憲民主党も米軍基地に対する考えに説得力が欠けるのはあくまでも安倍政権が強行する基地建設には反対し、自らが政権を担う際にどう立ち向かうかという施策が示されていないことだ。
立憲民主党の枝野幸男代表は、沖縄タイムスの取材に「辺野古移設問題はゼロベースから考える」と答えているが、単に白紙に戻すだけでは結局行き着く先は安倍政権と変わらないと思うのは自分だけだろうか。
それならば、やや非現実的ではあるが「米国との軍事同盟を破棄し、経済同盟を結び、米軍基地を一掃しよう」と訴え続けてきた共産党の方がよっぽど筋が通っている。
そういう政党が安倍政権の辺野古基地建設強行に反対するのに一切の矛盾は生じない。
米国が日本各地に米軍基地を置いているのは、有事の際に防衛するため(この機能はここ近年形骸化している。)というよりも日本が駐留費を支払ってくれることによるコストダウンが望めるからだ。
毎年日本が米軍駐留費に数千億円を払っていなかったら、米軍にすれば「要なし」に過ぎない。
日本は戦後70年以上経ってもこの構造的な主従関係を脱することができていない。
二十数年前から検討されてきた辺野古への移設は紛れもなく米国の意向でしかなく、そこに日本の主体的立場は用意されていない。
日本と米国の主従的軍事同盟を破棄するか見直すかしなければ、根本的な解決には至らないだろう。
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