【歩み寄る独裁者:4】南北閣僚級会談 ドタキャンは本気度の表れか

南北融和の流れに緊張が走った。
今月11日より行われている定例の米韓共同訓練を北朝鮮は自国に対する挑戦とみなしこれを非難。
16日に予定されていた南北閣僚級会議のドタキャンを発表したのだ。
先月末の南北首脳会談において出された「板門店宣言」のなかで、北朝鮮は非核化の条件の1つとして「自国に向けられたあらゆる軍事的脅威が排除されと確認できれば」といったことを盛り込んでいた。

韓国にも日本と同様、在韓米軍基地が存在する。朝鮮戦争休戦後の北朝鮮の軍事的脅威に対抗するためだ。

当然朝鮮戦争が終戦となれば在韓米軍の存在意義はなくなるのだが、韓国の文在寅大統領は「朝鮮半島の完全なる非核化と在韓米軍撤退は別問題」と実質的に在韓米軍駐留継続の意向を示している。

北朝鮮からすれば在韓米軍ははっきりと目に見える軍事的脅威であり、その米韓が共同訓練を行ったのだから融和ムードに亀裂が走るのも容易に想像できたはずだ。

さらに北朝鮮は南北閣僚級会議のドタキャンのみならず、朝鮮半島の完全なる非核化への最大のターニングポイントとされる米朝首脳会談の中止もちらつかせた。

ここに、北朝鮮の本気度が窺える。
ここ数ヵ月ほど北朝鮮は韓国よりも米国を意識した動きを見せてきた。

唯一米国本土を射程におさめる大陸間弾道ミサイルICBMの試射中止の意向も明らかに米国への忖度だ。

しかし、ここまで積み上げてきた対話への動きをひっくり返しふたたび米国と対立することになれば軍事衝突のリスクは格段に高まるおそれがある。
つまり、それだけ北朝鮮は本気だということだ。

日本では、北朝鮮が米韓共同訓練を非難したことにこれ見よがしに喜ぶ声が多く見受けられるが、北朝鮮と米韓が軍事衝突すれば否応なしに日本も巻き込まれるということは自明なことだ。

日本政府には、圧力一辺倒ではなく日本が軍事衝突に巻き込まれるリスクに対し危機感を持って対処してもらいたい。

「戦争をしない国」と宣言している以上は、戦争に巻き込まれないよう努めることも義務だ。

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